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リスク指標を、やさしく読む

銘柄ページには、一日の損失の大きさを示すいくつかの数値があります。投資がはじめての方でも読み通せるよう、ここでひとつずつ説明します。

一日の損失のものさし、VaR

95%のVaR(Value-at-Risk)は、一日の損失がおおむねこの値の内側に収まってきたという意味です。過去の記録では、百営業日のうち五日ほどは損失がこの値を超えました。値は投じた金額に対する割合なので、VaRが3%であれば、百万ウォンを投じた場合に一日で三万ウォンを超えて失う日が二十営業日に一度ほどあったことになります。

百個の点を百営業日とすると、色の濃い五つが、損失がVaRを超えた日です。

超えた日の平均損失、cVaR

cVaR(conditional Value-at-Risk)は、損失がVaRを超えた日だけを集めて平均した値です。線を越えた日に損失がどこまで大きくなったかを示し、定義上、同じ水準のVaRより必ず大きくなります。

線の外側にある日の損失だけを平均すると、線よりさらに外側に印がつきます。

揺れ幅を示す年率ボラティリティ

年率ボラティリティは、計算期間のあいだに値がどれほど大きく上下したかを一年単位に直して要約した数値です。ボラティリティが大きい銘柄は、上がる日も下がる日も動きが大きくなります。VaR・cVaRが今日時点の幅であるのに対し、こちらは期間全体の要約なので、両者が一致するとは限りません。

同じ期間でも、ほとんど動かない銘柄と大きく揺れる銘柄があります。年率ボラティリティはその幅を要約します。

数値の横の区間

すべての値には、角括弧で区間を併記します。同じ期間の記録がわずかに違っていれば、値はこの区間のどこにでも動きえたという意味です。区間が広いときは、値ひとつだけで二つの銘柄を見比べないほうがよいでしょう。

中央の印が表示されている値で、帯が区間です。帯が広いほど、ひとつの数値が語れることは少なくなります。

期間を変えると値も変わります

計算期間は一年、三年、五年から選べます。期間ごとに含まれる相場局面が異なるため、同じ銘柄でも値は変わります。どれかひとつが正解というものではなく、三つを並べて見るほうが銘柄の理解に役立ちます。

この数値が語らないこと

  • 過去の記録を要約するだけで、この先どうなるかは語りません。
  • 値が小さいから安全という意味ではなく、大きいから悪いという意味でもありません。
  • 銘柄を選ぶ根拠や売り買いの判断材料にはなりません。

さらに詳しく知りたい方へ

以下は、この指標の定義と計算方法を余さず記した全文です。項目を選ぶと開きます。

概要

上場銘柄ごとに、一日の損失がどの程度の大きさであったかを三つの数値で示す記述的な指標です。値はその銘柄自身の過去の売買記録から計算したものであり、今後どうなるかを示すものではありません。同じ銘柄でも計算期間を一年、三年、五年と変えると値が変わりますが、これは期間ごとに含まれる相場局面が異なるためです。

銘柄を選ぶための道具ではありません。値が大きい銘柄と小さい銘柄のあいだに優劣があるという意味でもありません。二つの銘柄の値を並べて比べるには、併記した区間が広すぎます。

定義

VaR(Value-at-Risk)は、一日の損失がこの値を超えない確率が表示された水準になるように定めた損失の大きさです。95%のVaRであれば、損失が二十営業日に一日ほどこの値を超えるという意味です。値は投じた金額に対する割合で表示します。

cVaR(conditional Value-at-Risk)は、損失がVaRを上回った日だけを集めて平均した値です。上回ったときにどこまで大きくなるかはVaRだけでは分からないため、二つを併せて公表します。定義上、この値は同じ水準のVaRより必ず大きくなります。

年率ボラティリティは、計算期間全体の日次対数収益率の標準偏差を年単位に換算した値です。前の二つが直近の確定した立会時点の大きさであるのに対し、こちらは期間全体を一つに要約した値であり、両者が一致する必然性はありません。

併記した区間は、この期間の観測がわずかに違っていた場合に値が収まりうる範囲です。今後どれだけ動くかを示すものではありません。

算出方法

(1) 収益率. その日に取引所が公表する前日比と基準価格からそのまま読み取ります。以下のすべての量は対数収益率rrを用いて計算します。企業行動のあった日は取引所が基準価格を取り直すため、別途の調整は行いません。ただし基準価格がその日の始値で決まる場合があるため、新規上場日、再上場日、売買停止明けの立会、基準価格が変わったのに前日比が0の立会は標本から除きます。価格が一日の制限幅を超えて動いた立会も除きます。

(2) 当日のボラティリティ. 指数加重移動平均で毎日更新します。

σt2=λσt12+(1λ)rt12\sigma_{t}^2 = \lambda\,\sigma_{t-1}^2 + (1-\lambda)\,r_{t-1}^2

減衰定数λ\lambdaは0.94に固定し、銘柄ごとに変えません。この値は為替と株価指数の資料で誤差が最も小さくなるように推定された定数を個別銘柄にそのまま用いたものです。銘柄ごとに調整できるようにすると、合格する値を後から選べてしまうためです。

(3) 標準化. 各日の収益率をその日のボラティリティで割ります。

zs=rsσsz_s = \frac{r_s}{\sigma_s}

こうすることで、静かな時期と荒れた時期の観測を一つの標本にまとめられます。

(4) 分位点. 標準化した値の経験分位点を取り、当日のボラティリティで戻します。

VaR^α,t=σtQ^1α ⁣(Zt(W)),CVaR^α,t=σt1SzSz\widehat{\mathrm{VaR}}_{\alpha,t} = -\,\sigma_{t}\,\hat{Q}_{1-\alpha}\!\big(\mathcal{Z}_t(W)\big), \qquad \widehat{\mathrm{CVaR}}_{\alpha,t} = -\,\sigma_{t}\cdot\frac{1}{|\mathcal{S}|}\sum_{z \in \mathcal{S}} z

Zt(W)\mathcal{Z}_t(W)は前日までのWW営業日の標準化収益率であり、S\mathcal{S}はそのうち分位点より下にある値です。正規分布は仮定しません。株式収益率は正規分布より裾が厚いためです。分位点の求め方は一つに固定します。この手順は、ヒストリカル・シミュレーションにボラティリティの更新を組み合わせた系譜に連なります(Hull and White 1998)。

(5) 表示の尺度. 上の値は対数尺度であるため、画面には単純収益率の損失として書き換えて示します。

VaRsimple=1eVaR\mathrm{VaR}_{\text{simple}} = 1 - e^{-\mathrm{VaR}}

分位点は単調変換をそのまま通るので、VaRは点推定にも区間の両端にも同じ変換を適用します。一方、cVaRは平均であり、変換を後から適用すると損失を大きく見せてしまうため、再標本ごとに裾を先に変換してから平均します。年率ボラティリティは対数尺度の標準偏差を252\sqrt{252}で換算した値のまま置き、変換しません。この換算は標準偏差の単位を年単位に書き換えるものです。一方、後述のとおり採らない平方根の引き伸ばしは分位点をより長い保有期間に伸ばす操作であり、両者は同じ操作ではありません。

(6) 算出期間. 営業日ベースで252日、756日、1260日の三つです。各銘柄の最初の100個の収益率は計算を始めるためのものであり、標本からは外します。期間内の実際の観測が90%に満たない場合は値を出しません。

(7) 区間. 標準化収益率を長さ20の循環ブロックで2000回取り直して百分位区間を求め、これにボラティリティ自体の推定誤差を合成します。ブロックで取るのは、隣り合う日の値が互いに似ており、観測を一つずつばらばらに取ると区間が実際より狭くなるからです。

保有期間は一日に固定します. 一日分の値に期間の平方根を掛けて長い保有期間に引き伸ばす方法は採りません。この方法は、ジャンプのある市場ではリスクを一貫して小さく見せることが知られており、期間が長いほどその度合いは強まります。

経済学での応用

この指標は、ある銘柄の損失の分布が今どれだけ広いかを示します。年率ボラティリティは期間全体をならした広さ、VaR・cVaRは直近の確定した立会時点での広さです。相場が荒れた局面では後者が前者を大きく上回ります。両者の比がその局面の変化を映します。

銘柄間の差を読むときは注意が必要です。併記した区間の幅が銘柄間の値のばらつきと近い大きさであるため、値がわずかに異なる二つの銘柄を区別できるとは言えません。

業種や市場全体が同じ時期にそろって動く性質も、この指標にそのまま現れます。複数の銘柄の値が同じ日に一斉に上下するなら、それは個別銘柄の性質ではなく相場の局面です。

金融市場での応用

VaR・cVaRは、一日に被りうる損失の大きさを、投じた金額に対する割合として示します。同じ金額を投じても銘柄によって一日に動く幅が大きく異なるという事実を、数値として確かめられます。

ただしこの値は、保有をどうするかについては何も述べません。値が小さいから安全だという意味でも、大きいから避けるべきだという意味でもありません。この指標が答えるのは、過去の記録に照らして一日の損失がどの程度の大きさまで広がったか、という一点だけです。

また、超過は時間的に集中して現れます。この指標は損失が基準を超える日の頻度を捉えますが、超過がいつ固まって現れるかまでは捉えられません。市場が不安定な局面で実際の超過率が表示された水準を上回るのはこのためです。

統計的検定

公表前に、事前登録した基準で全銘柄を採点しました。採点は、各銘柄について日ごとに、その日までの資料だけで値を作り、翌日の実現収益率と突き合わせる方式です。

超過が生じる頻度が明示した水準と合うかを銘柄ごとに検定し(Kupiec 1995)、棄却された銘柄の割合を見ます。有価証券市場では一年の期間が7.2362%、三年が1.5267%、五年が1.79%であり、基準は10%以下です。99%水準の五年は2.506%でした。コスダック市場は同じ順に6.257%、1.3308%、2.5473%でした。

銘柄別の超過比率の中央値が明示した水準からどれだけ離れているかも併せて見ます。この差はパーセントポイントではなく、明示水準に対する比率です。有価証券市場では一年が9.6036%、三年が3.0184%、五年が1.6748%離れており、基準は20%以内です。

cVaRも独自の合格基準で確認します。有価証券市場で棄却された銘柄の割合は一年が1.206%、三年が0.8724%、五年が1.5513%であり、基準は10%以下です。

条件付きカバレッジは通過しません。超過が隣り合って現れるかを検定すると(Christoffersen 1998)、有価証券市場で10.6205%から51.6583%の銘柄が棄却されます。この事実は隠さずそのまま開示します。この指標は超過の頻度は当てますが、超過が集中する時点は当てられず、超過は時間的に集中して現れるため、ストレス局面では実現超過率が明示水準を上回ります。分布全体を見る検定(Berkowitz 2001)でも16.8258%から19.4975%が棄却されます。

ボラティリティの更新を行わない単純なヒストリカル・シミュレーションと損失関数で比べると、中央損失比は0.94915534、0.92948177、0.92313356といずれも1を下回り、銘柄の93.5678%から97.136%でこちらの方式のほうが良い成績でした。

コスダック市場の99%水準の五年は、採点可能な日数の中央値が1898日で要件の2500日に届かず、検定不能として記録し、公表はしません。検定不能は失敗ではなく、判定できないという意味です。

推定誤差のために検定の実際の有意水準が名目水準から乖離しうる点(Escanciano and Olmo 2010)、およびここで用いた検定が標本期間の短いときに検出力を失う点(Campbell 2005; Kupiec 1995)は補正していません。回帰形の検定(Engle and Manganelli 2004)は報告項目として扱います。

この数値の読み方

  • この指標は損失が基準を超える日の頻度は捉えますが、その日がいつ集中するかは捉えられません。
  • 超過は時間的に集中して現れるため、市場が不安定な局面では実際の超過率が表示された水準を上回ります。
  • 数値の横に示した区間はその期間における標本の不確実性であり、今後どれだけ動くかを示すものではありません。
  • 連続する日付の値はほとんど同じ観測を共有するため、一日の変化は新しい情報ではありません。
  • 表示している値は、すでに終了し確定した営業日までの価格のみを用いており、当日の取引時間中の情報は含みません。
  • cVaRも独自の合格基準で確認しており、この確認は他の方法と比べるものではなく、水準そのものを見るものです。
  • 年率ボラティリティはその期間を要約した値であり、検証できる予測ではありません。
  • VaR・cVaRは本日時点の値、ボラティリティは期間全体の要約であるため、両者が一致することは想定していません。
  • VaR・cVaRは、価格が一日の制限幅を超えて動いた立会を除いて計算しています。
  • VaR・cVaRは株価のみから計算しているため、配当利回りの高い銘柄ほど権利落ち日の下落がそのまま指標に残ります。
  • 優先株は普通株より取引が少なく算出条件を満たさないことが多いため、値が空欄となる例が普通株よりはるかに多くなっています。
  • 収益率は取引所がその日に公表した値から直接読み取っています。過去の株価を遡って調整した別の資料と突き合わせると銘柄と日付によっては値が食い違いますが、その差は調整資料が過去の水準を計算し直す方法から生じています。

よくある質問

値が大きい銘柄は避けるべきですか。
いいえ。この指標は一日の損失の大きさを説明するだけで、保有の判断には踏み込みません。値が大きいというのは、その銘柄が一日で大きく動いてきたという意味です。
VaR・cVaRと年率ボラティリティがなぜこれほど違うのですか。
測っているものが違うためです。VaR・cVaRは直近の確定した立会時点の大きさであり、年率ボラティリティは計算期間全体を一つに要約した値です。相場が荒れた局面では、今日の大きさが期間の平均を大きく上回ります。
昨日と今日の値がほとんど同じなのはなぜですか。
連続する日付の値はほとんど同じ観測を共有しているためです。一日進んでも、入れ替わる観測は一日分だけです。
括弧内の区間は何ですか。
同じ期間で値を計算し直したときに、その値が収まりうる範囲です。将来の変動幅を示すものではありません。
一部の銘柄で値が空なのはなぜですか。
上場期間が短い、売買が少ない、売買停止が多いなどの理由で計算条件を満たさない場合です。優先株は普通株より売買が少ないため、こうした場合が多くなります。
一日ではなく一週間や一か月を基準にしたものはありませんか。
現在は一日を基準としたものだけを公表しています。保有期間を長くすると検定に使える独立した観測が大きく減り、一か月を超えると、現在利用できる記録では値が妥当かどうかを確かめる方法がありません。